同社ウェブサイトより AI を活用した介護ソリューションを提供する Voxela は21日、プレシリーズ A ラウンドの資金調達を公表した。増資の詳細は非公開で、ラウンドに参加したのは ALL STAR SAAS FUND、Archetype Ventures、セーフィーベンチャーズ、医療法人珪山会。同社のリリースによるとこれまでの増資額は7億円を超えた。 Voxela は2022年の設立。シリコンバレーに拠点を置くテクノロジー企業としてシリアルアントレプレナーの遠藤雄太氏、ゴーサム・カマス氏、吉田雄輔氏によって創設され、AI 画像解析技術を用いた次世代介護ソリューションの開発を手がけている。 同年9月にはシードラウンドで Black Crow Capital、Longevity Venture Partners、Third Act Ventures、Risk Taker らが出資し、調達額が1億円を超えていることを報告している。また同年の10月には介護事業を展開するリビングプラットフォームからの出資も受けている。 AIで介護現場の負担を軽減 平均寿命の延伸と出生率の低下により、高齢者人口は増加の一途をたどり、医療、特に長期にわたる集中的な治療の需要が高まっている。世界保健機関によると、2030年までに1,000万人の医療従事者が不足すると予測されており、特に高齢者介護の分野において労働力の確保が課題となっている。介護における肉体的・精神的負担の大きさが、賃金の低さと相まって、仕事に対する満足度の低下を招いているのが現状だ。 高齢の患者の多くは、糖尿病や認知症などの慢性疾患の治療に加え、入浴、着替え、食事といった基本的な活動の補助も必要としている。しかし、人員不足により医療従事者は多くの患者を担当せざるを得ず、患者一人ひとりへの徹底した治療に力を入れることが難しい状況にある。特に高齢者にとって大きなリスクとなる転倒は、米国疾病予防管理センターの報告にもあるように、施設での人員不足により常時見守ることが困難となっており、対応の遅れや転倒予防への取り組みの希薄化が懸念されている。 同社ウェブサイトより 同社の開発する AI ケアマネージメントサービス「ヴォクセラ V ケア」は、施設内のカメラから得られる映像データをリアルタイムで AI 解析し、転倒や徘徊などのイレギュラーな事象を即座に検知して介護スタッフに通知する。プライバシーに配慮した形で必要な情報のみを収集し、蓄積されたデータから将来的なリスクの予測分析も可能である。導入施設からは「イレギュラーな対応件数と対応時間の大幅な削減」などの点が評価されている。 システムの特徴として、共用部ではクリアな画像で事故を逃さずキャッチし、居室ではプライバシーに配慮してぼかしを入れて個人特定を防ぐ機能を実装している。また、動画による状況確認により、転倒原因の具体的な特定や適切な処置判断、看護師や主治医への正確な情報伝達が可能となっている。 2022年12月には North Handと連携し、介護記録システムとの統合サービス「N-SYSTEM-ai」をリリース。2023年12月には創業93年を迎える医療・介護福祉業界の総合医療商社である三笑堂との戦略的パートナーシップを締結するなど、事業基盤を強化してきた。 同社はサービスの導入効果として、転倒検知件数5,000件以上、入院回避率80%、検出率99%を公表。導入施設では転倒数が月平均4回から1回以下に減少し、救急搬送対応も73%削減されるなど、具体的な成果を示している。 Voxela は今回の調達を通じて、高齢化問題が顕在化している日本から、新たなグローバルスタンダードを創出することを目指す。 via PR TIMES Members BRIDGEの会員制度「Members」に登録いただくと無料で会員限定の記事が毎月10本までお読みいただけます。また、有料の「Members Plus」の方は記事が全て読めるほか、BRIDGE HOT 100などのコンテンツや会員限定のオンラインイベントにご参加いただけます。 無料で登録する この記事は会員限定です。無料登録で続きをお読みいただけます。 Members BRIDGEの会員制度「Members」に登録いただくと無料で会員限定の記事が毎月10本までお読みいただけます。また、有料の「Members […]